受動性再訪:モデル集合のみでのシステムの記述から解析・設計まで

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February 18, 26

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MSCS2019 チュートリアル1「制御系設計のモジュラリティ:大規模複雑化するシステムのための制御理論へ」の講演資料資料です。

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制御工学の研究者です。

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1.

第6回制御部門マルチシンポジウム 消散性 受動性再訪:モデル集合のみでの システムの記述から解析・設計まで 井上正樹 慶應義塾大学 チュートリアル1)制御系設計のモジュラリティ: 大規模複雑化するシステムのための制御理論へ 2019年3月7日

2.

講演の狙い:システムの記述 3  高次元化(大規模化)が流行? 高次元化 低次元化 状態方程式 (伝達関数) @upwork 複雑な制御が可能? 小 解析・設計の 精密度 大 大規模複雑系のモデリングは 大規模ネットワークで? 小 モデルの複雑さ 本日は逆方向へ向かう話 大

3.

講演内容 1. モジュール化のためのシステム表現 (消散不等式によるモデリング) 2. 研究紹介1:インスタントMPCと消散性 3. 研究紹介2:消散性ベースの詳細設計 4

4.

大規模複雑系のモジュール設計 5 シャシ エンジン ボディ エンジニアリング:複数設計者が なるべく個別に設計して組み立て 太陽光/風力 コードA 電力系統:個人から事業者まで 系統に自由に参加し接続 コードB ・・・ プログラム:後から機能が追加され 大規模化(add-in や plug-in) 全体管理者の視点から各モジュールへ要求する仕様? 個別設計者の視点から仕様の中での設計自由度?

5.

状態方程式による(サブ)システムの記述 6  状態方程式 シャシ エンジン ボディ – 動的システムの詳細な振る舞いを表現可能 – サブシステム同士の接続は連立方程式で対応 大連立で上位階層による 管理(解析・設計)が 困難 他にシステムの記述はない?

6.

復習:微分方程式と微分不等式 7  1次元微分方程式  1次元微分不等式 – 様々なモデルの集合を表現可能(モデル集合) – 安定性など動的システムの大まかな性質は説明可能 モデル“低次元化” たとえば 1次元微分不等式で解析・設計?

7.

消散不等式によるシステムの記述 8  消散(散逸)不等式(Willems, Hill, Moylan) – システムの“エネルギー”の増減に着目 系に蓄積される単位時間あたりの エネルギーは高々この程度 – 有界L2ゲイン: ⇒ – 受動性: ⇒ Im Im Re 0 Re 0 ナイキスト軌跡

8.

消散不等式によるシステムの記述  消散(散逸)不等式(Willems, Hill, Moylan) – システムの“エネルギー”の増減に着目 系に蓄積される単位時間あたりの エネルギーは高々この程度 提案:パラメータ によって 各サブシステムの仕様を記述しては? Micro-grid 9

9.

小まとめと比較:状態方程式と消散不等式 状態方程式 消散不等式 n次元微分方程式 1次元微分不等式 各状態について詳細な 振る舞いを表現 安定性や収束速度など 大まかな性質のみ表現 ネットワーク接続は連立 ネットワーク接続は総和 管理できない! 次元 1次元のまま! 色々メリット! 10

10.

解析例:フィードバック接続  サブシステムの消散性 11 ー で接続  制御系全体の消散性 総和のみで安定判別! ならば 安定 (Lyapunov安定)

11.

特別な場合:スモールゲイン・受動性  制御系全体の消散性 12 ー ならば 安定!  スモールゲイン定理: Im 0  受動定理: Re Im Re 0

12.

大規模系のモジュール解析・設計 13 Micro-grid 全体の定性的(定量的)見積もり 管理・設計のため 仕様を指定 更新のため仕様 の変更を要望 のみで情報交換 サブシステムの詳細設計 ポイント: を指定 実現方法を指定 各サブシステムの設計者は自身の 嗜好のもと仕様を満足すればよい 高性能化したい, 安くしたい,…

13.

システムの記述・表現について 14 解析・設計の 精密度  管理者の視点,サブシステム設計者の視点 管理者の視点 大規模系を簡易モデルベースで解析・設計 大規模複雑モデルで記述する必要はない! 消散 不等式 モデルの複雑さ 状態 方程式 ニューラル ネット? サブシステムの 設計者の視点 詳細モデルベースで仕様を 満足するよう設計

14.

研究事例紹介1:インスタントMPC 15 K. Yoshida, M. Inoue, & T. Hatanaka, Instant MPC for linear systems and dissipativity-based stability analysis, 論文投稿中(arXivで公開済) 吉田圭佑氏 (慶應M1) 畑中健志先生

15.

モデル予測制御(MPC)とは… 16 オンラインでの最適化の求解を前提とする制御 例)状態空間での制約 禁止領域 例)モデルでの状態予測  複雑な仕様を取り入れた制御が可能  最適化の求解コストの大きさ…

16.

インスタントMPCの基本アイデア 提案:最適化の求解過程を直接利用した制御 等高線 連続時間アルゴリズムでの実現 定常状態で KKT条件成立! [Cherukuri et al., SCL, 2016]など ⁇ 制御系の安定性保証? ⁇ 制御性能追求?(vs MPC?) 17

17.

プラントの消散性の見積り プラントのモデリング – 詳細なふるまいは非線形かもしれない – 消散不等式での記述 18

18.

コントローラの消散性の見積り コントローラのモデリング 19 の内部構造 ー – エネルギーの総和から 自由 パラメータ

19.

制御系の安定性 20 制御系全体の消散性: ならば 安定!

20.

シミュレーション MPC iMPC 安定だけど…性能はいまいち… :自由パラメータを適切に設計 (求解アルゴリズムの修正に対応) ならば 安定! 21

21.

シミュレーション 22 性能向上& MPCとの差が減少 iMPC iMPC ならば 安定!

22.

シミュレーション 制御系全体の消散性: 計算時間/制御入力決定 Log MPC 計算時間はMPCの シミュレーション(vs MPC) 1/100程度 – 確かに安定だけど…性能はいまいち… ならば 安定! iMPC iMPC 23

23.

小まとめ:モデルの使い分け 真のシステム 1次元の微分不等式で 簡易モデル化 多次元の微分方程式で 詳細モデル化・ 制御器に埋め込み 安定性保証に利用 制御性能向上に利用 モジュール化により独立に達成可能 24

24.

システムの記述・表現について 25 解析・設計の 小 精密度 大  研究1:目的に応じたモデルの使い分け 同時に達成 定性的な 安定性保証 消散不等式 小 定量性能追求 状態方程式 モデルの複雑さ ニューラル ネット? 大

25.

講演内容 1. モジュール化のためのシステム表現 (消散不等式によるモデリング) 2. 研究紹介1:インスタントMPCと消散性 3. 研究紹介2:消散性ベースの定量設計 26

26.

システムの記述・表現について 27 解析・設計の 小 精密度 大  研究2:消散不等式ベースの定量解析・設計 定量解析 ・設計 消散不等式 小 消散不等式の理論と 状態方程式の理論を つなぐ(?)話! モデルの複雑さ 大

27.

研究事例紹介2:消散性ベースの定量解析 28 K. Urata & M. Inoue, Dissipativity reinforcement in feedback systems and its application to expanding power systems, IJRNC, 2018 電力系統: 詳細モデルは利用不可 浦田賢吾氏 (東工大D2) 消散性に基づく 外乱抑制性能強化

28.

消散不等式による記述の良し悪し 29  以下,受動性に限定して議論 詳細モデルは不明  動機)二つのシステムの区別? Im ナイキスト軌跡 は同じ Re 0 – 統一表現: – 時定数の違いを区別できない で表現可能 消散性の良し悪し (原先生) 動的システムとしての設計に足かせ

29.

周波数依存の消散不等式へ 30  消散不等式 – 時間積分 – 安定性,零初期状態のもと, – パーセバルの等式で周波数領域の不等式に変換 で表現力UP

30.

ナイキスト軌跡と性能の見積もり 31  定数係数の消散不等式 Im ナイキスト線図 L2ゲイン -1 0 Re  周波数関数係数の消散不等式 3次元 Im ナイキスト線図 Re 周波数依存のゲイン

31.

解析例:フィードバック接続  サブシステムの消散性 32 -  制御系全体の消散性  安定性・受動性は保存:  周波数ごとの性能評価: ゲイン線図 この帯域を 抑えたいetc 周波数依存の詳細な 仕様を設定可能

32.

電力系統での消散性能の強化  電力系統:詳細モデルは未知,受動性のみ既知 目的:フィードバック制御 での減衰性能向上 – 制御器の分散設計(複数設計者が独立に設計) – 各設計者はQSRの仕様のみ与えられるとする 33

33.

数値実験1 34 Case 1: 制御器なし vs 制御器一つ – 制御対象(電力モデル) IEEJ east 30 model – 設計者へ提示される設計仕様 – 実際に設計された制御器 低周波帯での 外乱抑制 Frequency [Hz] 外乱応答 Frequency deviation [Hz] Gain [dB] 性能評価(ゲイン線図) 性能向上! Time [s]

34.

数値実験2 35 Case 2: 制御器一つ vs 制御器二つ – 設計者へ提示される設計仕様(同一) – 実際に設計された制御器 低周波帯での certifiable gain (numerical gap?) 外乱抑制 Frequency [Hz] 外乱応答 Frequency deviation [Hz] Gain [dB] 性能評価(ゲイン線図) さらなる性能向上! Time [s]

35.

数値実験まとめ:消散不等式での詳細設計  詳細モデルを利用せず 段階的な性能向上を実現  周波数整形による詳細設計 – 管理者は所望の閉ループ特性に基づいて 仕様 を決定し設計者に提示 ゲイン線図 36

36.

全体のまとめ 37 消散不等式に基づく解析・設計へ!  サブシステムを詳細モデル(状態方程式)でなく モデル集合(消散不等式)で記述  ネットワーク接続をパラメタ遷移で表現し, (スケーラブルに)安定性, 消散性能等を解析 Model set-based analysis/design Model-based analysis/design 結合は微分方程式の連立で表現 ・ ・ ・ 大規模化で破綻… 結合はパラメタ遷移で表現