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August 01, 25
スライド概要
2025年7月31日(木)白百合女子大学全学FD・SD研修会(オンデマンド)「2025年度即時オープンアクセスの義務化に向けて(続編)」で使用した講演スライドです。
白百合女子大学ライフ・リテラシー教育センター教員。司書・司書教諭課程担当。舞台大好き(小劇場)。
前回の講義への補足 前回取り上げられなかったトピック オープンアクセスの対象 公表時点から電子ジャーナル(もしくは印刷体が発行され る際に同時に電子ジャーナルとしても公開される)ものが 対象。 印刷体でしか発行されないものは今回の即時オープンアク セスでは対象外。 印刷体の発行後、一定期間をおいて初めて電子ジャーナル が公開される場合も対象外。 まとめると、最初の公表段階で電子ジャーナルになってい ないものは対象外となる。 今井福司 即時オープンアクセスについて 白百合女子大学ライフ・リテラシー教育センター 続編
前回の講義への補足 前回取り上げられなかったトピック オープンとクローズの区別 これまで公開していなかったものを、全てオープンにしな ければならないわけではない。 著作権やプライバシーの関係で公開できないものについて は「クローズ」でよい。 学術誌の掲載時にオープンにすることを求められているも の以外は「クローズ」でよい。 出版社や学会との契約でオープンにすることができないと いう理由があれば「クローズ」でよい。 今井福司 即時オープンアクセスについて 白百合女子大学ライフ・リテラシー教育センター 続編
前回の講義への補足 前回取り上げられなかったトピック 即時オープンアクセスの対象 以下の条件を全て備えたものが「即時オープンアクセス」と なる。 1. 科研費などの公的研究費をもらって行っている研究がある。 2. 公的研究費の研究成果の中として、研究論文を書く可能性 がある。 3. 研究論文の投稿先が「査読あり」である。 4. 投稿先では、最初から電子ジャーナルとして公刊される。 5. なお、即時とはおよそ公表後 3ヶ月が目安である。 今井福司 即時オープンアクセスについて 白百合女子大学ライフ・リテラシー教育センター 続編
前回の講義への補足 前回取り上げられなかったトピック 即時オープンアクセスにならないものは何か 科研費などの公的研究費をもらっていない場合は対象外と なる。 研究成果が書籍として出版される場合は「研究論文」では ないので対象外となる。 学内の研究紀要で査読なしの場合は対象外となる。 査読ありの研究論文だが、印刷体でしか発行されない、も しくは電子ジャーナルが印刷体の発行と同時には公刊され ない場合も対象外。 今井福司 即時オープンアクセスについて 白百合女子大学ライフ・リテラシー教育センター 続編
前回の講義への補足 前回取り上げられなかったトピック グリーン OA・ゴールド OA について グリーン OA: 研究者自身が文献を電子アーカイブで公開する。 例えば、エンバーゴ終了後に機関リポジトリで公開する など。 本学の機関リポジトリで公開すればグリーン OA となる。 参考:新潟大学オープンアクセス支援サイト 今井福司 即時オープンアクセスについて 白百合女子大学ライフ・リテラシー教育センター 続編
前回の講義への補足 前回取り上げられなかったトピック グリーン OA・ゴールド OA について ゴールド OA: 購読料以外のコスト負担により運営される OA。 例えば、著者がオプション料金(APC)を支払って出版社 がオープンアクセスとする(ハイブリッド OA)、投稿料だ けでオープンアクセスとなる(フル OA)パターンがある。 なお、和文誌では学会などが費用を負担することで、オプ ション料金を著者が支払わずに OA となるものも少なくない と思われる(ダイヤモンド OA と呼ばれる)。 参考:新潟大学オープンアクセス支援サイト 今井福司 即時オープンアクセスについて 白百合女子大学ライフ・リテラシー教育センター 続編
前回の講義への補足 前回取り上げられなかったトピック J-STAGE での公開について J-STAGE とは学術誌の大半が電子ジャーナル公開に用いる サービス。 例えば日本図書館情報学会は、以下の 2 点からオープンア クセスかつ即時オープンアクセスの条件を満たしている。 1. 公開時にエンバーゴの設定がなく、無料で閲覧できる。 2. 投稿規程にクリエイティブ・コモンズ ライセンス(CC ライセン ス)付与により二次利用の範囲・条件が明示されている 今井福司 即時オープンアクセスについて 白百合女子大学ライフ・リテラシー教育センター 続編
前回の講義への補足 前回取り上げられなかったトピック ブダペスト宣言とアメリカの取り組み 海外では、限られた範囲でのみ学術情報の流通が行われるこ とに危惧を抱いた研究者などから、様々な動きが出ている。 2002 年にオープンアクセス(OA)関係者によって始まった OA に関する宣言ならびに運動である(Budapest Open Access Initiative:BOAI)はその端緒である。 BOAI の宣言では、OA とは学術論文を、経済的・法的・技 術的な障壁なく、インターネットを介して誰もが自由に利 用できるとし、実現手段としてグリーン OA とゴールド OA の 2 つを提示している。 今井福司 即時オープンアクセスについて 白百合女子大学ライフ・リテラシー教育センター 続編
前回の講義への補足 前回取り上げられなかったトピック 拘束力のないオープンアクセスの限界 追加の手間や負担が生じやすいことから、興味関心がある 研究者だけに限られがちとなる。 研究者が限られた研究費から、出版社へ追加料金を支払う インセンティブが働きにくい。 研究成果を広く公開されることを好まない分野もある (特許 などの権利、イデオロギー、資料の提供者の希望など)。 今井福司 即時オープンアクセスについて 白百合女子大学ライフ・リテラシー教育センター 続編
前回の講義への補足 前回取り上げられなかったトピック cOAlition S におけるプラン S の取り組み プラン S は欧州中心の研究助成機関のコンソーシアム cOAlition S が推進する計画である。 参加機関が助成した研究成果について、完全即時の OA を求 める。 購読料と論文掲載料(APC)の二重取りをするハイブリッ ド誌は、公共の理念に完全に反するとしている。 ただし、2021 年 9 月の発効後も米国が参加しないなど拡が りに欠けた。 今井福司 即時オープンアクセスについて 白百合女子大学ライフ・リテラシー教育センター 続編
前回の講義への補足 前回取り上げられなかったトピック アメリカの即時 OA 政策 2022 年 8 月 25 日に突如、米・科学技術政策局(OSTP)が Plan S と同等の指針を発表した。 公的資金を得た研究成果について、論文出版と同時に、論 文及び根拠データがオープンアクセス(OA)となる。 米国の研究助成機関は、最大でも 360 日以内に、「即座 OA」 の実施計画を OSTP および、行政管理予算局(OMB)に提 出しなければならない。各研究助成機関の「即座 OA 方針」 は、2024 年末までに確定・公開され、遅くとも 2025 年末 までに施行される。 今井福司 即時オープンアクセスについて 白百合女子大学ライフ・リテラシー教育センター 続編
前回の講義への補足 前回取り上げられなかったトピック 本スライドのライセンスについて このスライドは CC BY 4.0 でライセンスします。条件を 守っていただく範囲では、ご自由にお使いください。詳細 は https://creativecommons.org/licenses/by/4.0/ をご覧下 さい。 今井福司 即時オープンアクセスについて 白百合女子大学ライフ・リテラシー教育センター 続編